診療について : フィラリア予防

フィラリアとは

フィラリア(犬糸状虫)とは、蚊によって媒介される寄生虫で、心臓(右心室)や肺の血管(肺動脈)に寄生しています。大きさは約15cm~30cmぐらいのそうめん状で、寿命はだいたい5~6年と言われています。

フィラリア症のやっかいなのは、いったん寄生してしまうと安全に駆除することが難しい点にあります。それは、血管内に寄生しているため死んだ虫が体内から出る場所がないからです。

フィラリア症は、寄生しているフィラリアの数寄生している期間、さらには、犬の年齢や体力にもよるので、感染してすぐに症状が現れるわけではありませんが、数ヶ月、数年とたつ間に、フィラリアの寄生していることによる刺激だけでなく分泌物や排泄物によっても肺や心臓、血管だけでなく肝臓や腎臓などの臓器にも影響を与え、治療しても元に戻らないことも多く放っておくと死に至る恐ろしい病気なのです。

主な症状

  • お腹が膨らんできた(腹水の貯留)
  • 食欲がない
  • 痩せてきた
  • 咳がでる
  • あまり歩きたがらない
  • 貧血

主な症状として上記のような症状があります。

それ以外も急性フィラリアがあります。急に元気がなくなり、呼吸困難や、虚脱、血尿などの症状を起こし、数日の内に死に至ることになります。

フィラリア予防の注意点

投薬開始の前に必ず検査を行ってください。前年度の予防が不完全でフィラリアに感染している場合、予防薬によって副作用を起こす可能性があります。初診の方は、前年度の予防薬もお知らせください。

※昨年の夏を越していない仔犬は検査不要です。(体重は測定する必要があります)

フィラリアの予防法

フィラリアの予防薬として服(錠剤、散剤、チュアブル)、注射、スポットオンなど数種類が販売されていますが、当院では、錠剤とチュアブルタイプの予防薬を扱っています。

これらの予防薬を5月末頃から11月末頃まで毎月1回、飲ませることによって、もしフィラリアが感染していても、心臓に到達する前の幼虫の段階で駆虫することによって予防します。

ですから、フィラリアの予防薬は1ヶ月間効果が持続しているといった誤った認識をされるオーナーさんがいらっしゃいますが、フィラリアの予防薬はただの駆虫薬であり、飲ませた直後しか効果はありません。また、成長して血管、または心臓内に入ってしまった幼虫に対しても駆虫はできません。

なお、予防を始める前にフィラリアの検査をしています。これはフィラリアが寄生している犬に予防薬を飲ませるとショック等の副作用が現れる場合があり、それを避けるためです。これは前年予防していなかった方はもちろん予防していた方も同様に検査しております。詳しくはスタッフまでご相談ください。